ハンザワブログ

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トヨタが裁量労働制を拡大!サービス残業増加になる可能性も

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こんにちは!ハンザワです。
本日は働き方、裁量労働制についての記事です。「トヨタが裁量労働を実質拡大する」というニュースが日経新聞で報道されました。トヨタがなぜ裁量労働を拡大するのかについて考えてみました。

ニュースの概要

以下がニュースの概要です。

トヨタ自動車は自由な働き方を認める裁量労働の対象を広げる方針を決めた。法律が定める裁量労働制の業務よりも幅広い事務職や技術職の係長クラスを対象とする新制度案を労働組合に提示。

残業時間に関係なく毎月45時間分の手当を支給するほか月45時間を超えた分の残業代も支払う。政府で議論が進む「脱時間給」の要素を現行法の枠内で先取りする。

【引用元】

トヨタ、裁量労働を実質拡大 一定の「残業代」保証 :日本経済新聞

ニュースの感想を3点

感想① 「自由な働き方を認める裁量労働」という表現は違和感あり

日経新聞のニュースには「自由な働き方を認める裁量労働」と記載されていますが、なぜ自由な働き方に繋がるのでしょうか。出退勤も自由、労働時間も自由というような裁量労働制ならば確かに「自由な働き方」になるでしょうが、今回の裁量労働は「45時間を超えた分の残業代を支払う=残業管理をする」ので、そのような制度ではないでしょう。

ハンザワには「自由な働き方」になる理由がわかりません。もしわかる人がいたら教えてください。残業している人がダラダラと無駄な「生活残業」している人ばかりであり、その人たちが「生活残業」せずとも手当がもらえるから「自由な働き方」になるということでしょうか。

感想② 月45時間を超えた分の残業代も支払うとあるが、この制度はサービス残業増加につながると思う

月45時間を超えた分の残業代を支払うとありますが、うがった見方をすると具体的な数字を会社が社員に示すことで「月45時間に収めろよ」と言っているように聞こえます。

今まで45時間超残業していたトヨタの社員の方は、45時間超の残業を申請しづらくなるのではないでしょうか。本当に社員の裁量だけで残業時間をコントロールできて、気兼ねなく申請できるのならば良い制度だと思いますが。

感想③ 「脱時間給」では無い

政府で議論が進む「脱時間給」の先取りとありますが、これは全く意味が違うと思います。政府の言っているのは、「脱時間給≒成果報酬」です。成果を上げている人は短時間勤務でも高報酬、成果を上げられない人はダラダラ長時間勤務しても低報酬というのが「脱時間給」です。

トヨタの裁量労働拡大は単純に「働いても働かなくても月45時間まで残業代は同じ」にしただけであり、パフォーマンスによって差が出るようにしたわけではありません。

給料を上げるのではなく、裁量労働制拡大とするトヨタの狙いとは

今回のトヨタの裁量労働制拡大を「残業45時間以内の人にとっては実質の賃上げだ」という人もいるでしょう。政府から経済界に向けて執拗な「賃上げ」の要請があるため、日本のトップ企業としてトヨタはこのような策を取ったように思えます。

では、なぜトヨタは給料(基本給)のアップではなく、裁量労働制拡大としたのでしょうか。ハンザワが考える理由は下記3点です。

理由① 給料を上げると、組織構造維持のため管理職も給料を上げなければいけない

裁量労働制拡大で実質的な賃上げになるのは「残業45時間以内の管理職以外の人」です。給料を上げるとなると、そうはいきません。企業が支払うコストは給料アップよりも裁量労働制拡大の方が少なくて済むのです。

理由② 給料を上げると残業代が上がるから

残業代の計算は給料(基本給)をもとに行われます。給料を上げてしまうと残業代も増えてしまうのです。そのため給料を上げるよりも「みなし残業分の手当」を支給する方が会社にとって得と考えたのでしょう。

理由③ 給料を上げるとボーナスが上がるから

ボーナスも残業代と一緒で給料(基本給)をもとに計算されます。「給料の何ヶ月分」と表現した時の「何ヶ月分」には残業代は含まれません。今回の「みなし残業分の手当」も職種間で不公平が出てしまうため、ボーナスの計算には含まれないはずです。

最後に

好意的に捉えている人もいるようですが、今回のトヨタの改革は、給料が上昇しない問題の解決やワークライフバランスの充実につながらないと思います。従業員のことを考えて作った制度ではなく、トヨタが会社の都合の良いように作った制度のように思えて仕方ありません。

それでは!